不動産の売買にはトラブルがつきものであり、トラブルにも様々あります。
本稿では、不動産売買において起こりやすい法律トラブルについて見ていきましょう。
1.不動産の権利関係
不動産には所有権以外にも様々な権利が付随している場合があります。
その代表的なものが「抵当権」です。
抵当権とは、特定の債権者(お金を貸したり、ローンの返済を受けたりする人)が、担保として差し入れた不動産から優先的に返済(お金の返し)を受けることができる権利のことです。
例えば、ある人が借金の担保として土地に抵当権を設定した場合、貸し手(債権者)が借入金を返済できなくなったときに、貸し手は抵当権を設定した土地を処分し、その処分代金から優先弁済を受けることができます。
したがって、購入した不動産に抵当権が設定されている場合、貸主(債権者)が債務者の債務等を返済しないまま抵当権を実行すると、債務者は当該不動産を担保にできなくなる可能性があります。
また、借地権や地上権などの権利の設定により、購入した不動産を満足に利用できないなどのトラブルに巻き込まれるリスクもあります。
設定された権利の内容について誤解や思い込みのまま取引をしてしまい、後々トラブルになるケースも珍しくありませんので注意してください。
2.法令上の制限
土地を所有しているからといって、必ずしもその土地を好きなように使えるとは限りません。
すべての土地所有者が自分の都合だけで土地を利用すれば、社会にとって不利益となる事態が生じるかもしれないのです。
例えば、土地所有者の身勝手な土地利用(高すぎる建物、隣家の一部へのはみ出し等)は、周辺地域に損害を与える可能性があります。
そのため、日本には土地利用を規制するさまざまな法律や規制があるのです。
不動産業者が関与する不動産取引では、法的規制は常に重要事項ですが、一般の方にとっては「それだけでは正しく理解できない」場合もあるでしょう。
法令上の制限について誤解や思い込みがあるまま不動産を購入すると、「希望通りの建物が建てられない」といったトラブルを引き起こす可能性があります。
また、宅建業者の仲介がない不動産取引では、売主・買主双方が知らない法的制限がある場合があります。
宅建業者が重要事項として説明しなければならない法令上の制限である宅地建物取引業法には約60項目もあり、専門知識のない一般の方では見落としてしまう可能性があるのです。
3.隣地との境界
一般の人が土地の境界線を正確に把握することは容易ではありません。
通常の不動産取引(宅地建物取引業者の媒介があるケース)では、売買前に隣地との境界確認(隣地所有者との立会い)作業を行います。
しかし、それを行なったにもかかわらず売買後に境界紛争が発生するケースもあります。
特に売却対象地の公図(法務局備え付けの地図)と現地が不一致の場合、客観的な資料から正しい境界の位置を調査することは困難な場合が多いです。
また、所有者が古くから土地を所有している場合、公図が昭和以前に作成されて以来、手入れがされていないため、公図と現地が一致しないケースも多いので注意してください。
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